導入事例

東急プロパティマネジメント株式会社
東急プロパティマネジメント株式会社
不動産管理業務アプリケーション開発1,000~2,000人
2020/8/31

多様な働き方における雇用契約書・勤怠管理の業務効率化と
コンプライアンス順守を支援する就労管理システム。

東急ファシリティサービス株式会社様(取材当時の社名、2021年4月に商号変更)は、東急グループの不動産管理事業の中核を担う企業として「快適な街を支えるプロフェッショナル」という経営理念の元、ビルメンテナンスから統括管理、プロパティマネジメントや省エネルギーソリューションに至るまで、ファシリティの価値を高めるプロとしてトータルサービスを提供することで、街の価値向上を図り地域社会に貢献されています。
業務の特性上、日頃から多様な雇用形態や勤務形態の社員が様々なビルや商業施設で働いており、現場ごとに業務管理方法も異なるため、労務管理に大変苦労されていらっしゃいました。そこで、2018年に「就労管理最適化プロジェクトチーム」を発足させて大幅な業務改善に取り組まれることになり、当社でお客様の運用にフィットした新システムを開発させていただく運びとなりました。
今回は、新システム導入に至った経緯や業務改善のポイントなどについて、お話を伺いました。

背景

有期雇用者の雇用契約・勤怠管理が課題

-就労管理の最適化に取り組んだ経緯を教えてください

当社はビルマネジメント会社ですので、ビルや商業施設のメンテナンスや清掃などの現業が主体となっています。契約社員など有期雇用者の数も多く、自社オフィスではなくお客様の建物や施設内で仕事をするため、雇用契約形態や働き方も実に様々です。必ずしも管理者が常駐していない現場もあるため、労務管理の難易度が高く手間もかかっていました。

そのため、従前の人事・給与システムのパッケージ機能だけでは、有期雇用者の雇用契約や勤怠管理を実現できず、自社で独自にExcelで雇用契約書や勤務表を作成して対応していました。

しかし、外国人採用を含め雇用条件が非常に複雑で専門的な労務知識を要するため、現場責任者や物件担当者のスキルや知識にばらつきがあり、誤った条件で契約書を作成してしまうリスクもありました。そこで、Excelに条件や計算式を組み込み制限をかけることで、極力リスクを軽減させるよう工夫してきました。勤務表においても同様に、Excel上で勤務条件チェックや時間外勤務時間の集計などを自動で行えるよう作り込むことで、一定の管理水準を保ちながら運用していましたが、Excel自体があまりにも複雑で属人化した仕様になっているため、メンテナンスが限界に達していました。

また、人事給与システムにこれらのExcel雇用契約書や勤務表が連携していないため、膨大な重複登録作業が発生する上、雇用契約書上では週2日勤務のところを誤って3日で勤務表を作成してしまうなど、人的ミスを誘発する一因にもなっていました。

労働時間管理においても、勤務表に登録された実績を集計して人事給与システムに取り込む手間がかかる上、基本的に勤務表が自己申告に基づくため、勤務実態との整合性を担保する術がなく、コンプライアンス面でも大きな課題を抱えていました。折しも、働き方改革の波が押し寄せていたため、これらの問題を解決すべく、就労管理最適化プロジェクトを立ち上げることになりました。

選定理由

当社の課題に寄り添った提案がベンダー選定の決め手

-アイテックスを選定いただいた理由をお聞かせください

はじめは既存の人事給与システムも含めて一新する方向で検討しましたが、パッケージで当社が思い描く雇用契約管理を実現することは難しく、大幅なカスタマイズが必要でした。給与計算まで再構築するとかなりの期間を要するため、費用対効果と新制度のスタート時期を踏まえて、現行の人事給与システムは残し課題となっている雇用契約と勤怠管理に絞って検討を進めることにしました。

当初、既存ベンダーを含む5社から提案をいただきましたが、アイテックスは勤怠管理のスクラッチ開発経験があり、当社の課題に親身に寄り添いながら具体的な提案をいただけたので、安心してお任せできると感じ決定しました。

導入効果

業務の効率化とコンプライアンスの準拠を目指す

-新システム導入のポイントと効果について教えてください

新システムにおいては、重複登録作業を排除すること、現行のExcelで実施している入力支援・誤入力防止チェックと同等の水準を維持すること、客観的打刻による日々の勤務実績管理を行うことの3点を優先項目にあげました。

まず、弊社の運用に合わせた雇用契約システムと勤怠管理システムを開発いただき、これらのデータを既存の人事給与システムに連携させることで、無駄な重複登録作業がなくなり業務の効率化と人的ミスの削減を実現できました。

また雇用契約システムは、専門的な労務知識の有無を問わず法令に則った運用ができるよう、細かくシステム側で入力項目の制御をかけ、契約書の作成をアシストすると同時に、雇用条件に応じて必要な帳票類を自動出力できるようにしていただきました。

勤怠管理システムにおいても、現場で勤務表を作成する際に雇用契約条件に合わせて勤務日数や休日勤務、勤務時間等を選択できるようにすることで、誤った勤務シフトの作成を防止しています。さらに、各拠点へiPadを設置し専用のQRコードで出退勤打刻を行う運用に統一することで、客観的打刻と勤務実績のリアルタイム把握が可能になりました。

今後の展開

管理の最適化で見えた新たな課題に向き合い健全化を推進

-就労管理最適化の成果と今後の展望について教えてください

今回、新システムの導入に合わせて新たに勤労センターを立ち上げ、管理方式のルール作りにも取り組みました。拠点の業務や勤務形態に応じて、現場の責任者と勤労センターとの役割分担をパターン化することで、効率よく運用できるような管理体制を整えました。これにより、これまで拠点によってバラバラだったフローが統一され、就労管理の最適化を推進することができました。

しかし当社はまだまだ課題が多く、新しいシステムや運用ルールを導入することによって、これまで把握できなかった現場の実態が見えてくることにより、新たな課題も表面化してきました。今後はこれらの課題に根気よく向き合いながら、一つずつ解決してさらなる健全化を図っていきたいと考えています。

またシステム面においては、スクラッチ開発の特性上仕方ないことではありますが、制度改定やルール変更を行う際にメンテナンスコストがかかるため、より汎用的な運用を実現すべくアイテックスのSEさんと相談しながら、システムのブラッシュアップを図っていきたいと思います。

東急ファシリティサービス株式会社 会社概要

会社名 東急ファシリティサービス株式会社
所在地 東京都世田谷区用賀4-10-2 世田谷ビジネススクエア・ヒルズ1
設立 1961年10月11日
資本金 1億円
事業内容 ビルマネジメント事業
・ビルメンテナンス
・統括管理
・プロパティマネジメント
・省エネルギーソリューション